「海外型ライドシェア」への不安6割、海外へのデータ送信の不安は8割

 交通労連も参画している交運労協が、首都圏(一都三県)在住でタクシーを月1回以上利用する20代~60代の男女1,053名を対象に2024年11月に実施したインターネット調査の結果を発表しました。

 

 タクシー利用者の57.6%がタクシー配車アプリを利用しており、うち98.2%が配車に利用していることからもアプリによって利便性が向上していることが伺えました。タクシーの捕まりにくさを頻繁に感じているのは14.7%、時々感じているのは54.4%でした。ただし捕まりにくさを感じる状況は「悪天候」「交通量が少ない」「早朝・終電時・終電後の時間帯」など限定的で、タクシーが捕まりにくい状況であっても、タクシー配車アプリによって利用しやすくなったと感じている人が82.2%となりました。

 

 タクシー利用者の87.8%が公共交通としてのタクシーサービスの現状に満足を示し、タクシーサービスで重視されている価値として「24時間呼べない時間帯が無い」72.7%に次いで、「運転技能教育」59.5%や「料金体系の分かりやすさ」58.9%、「ドライバーの身元の確かさ」54.8%が挙げられており、これまでの制度やタクシー事業者が公共交通として積み上てきた運行体制が評価されていることが明らかとなりました。

 

 タクシー利用者は、海外型ライドシェアに対して、「ドライバーの身元保証」「トラブルは当事者同士で対応」「ドライバーの運行管理」に関して、それぞれ6割以上が何らかの不安を示しました。また、海外のプラットフォーム事業者の提供するサービスでは、「自分の移動情報やカード情報のデータが、日本の法律が適用されない海外のサーバーに送信されること」について82.5%が不安を感じると答えました。

 

 また、海外型ライドシェアが日本で実現された場合、6割以上が「利用者として守られていると感じない」と回答し、同じく6割以上が「自身や家族、高齢者、身体障碍者といった交通弱者などみんなが安心して使えるサービスだとは思わない」と回答しました。予想されるトラブルで不安や問題に感じる項目は、1位「交通事故発生時の補償や交渉」91.7%、2位「ドライバーによるわいせつ・盗撮行為」90.1%、3位「ユーザーに不明瞭な運賃」89.0%などが挙げられました。

 

 法整備を検討中の海外型ライドシェアの議論のあるべき姿として、1位に「安全性や公平性の観点から慎重に検討して欲しい」61.8%が挙げられ、最下位の「政治主導で迅速に導入して欲しい」15.1%に比べて約4倍の差が開きました。このほか「消費者に開かれた議論」や「適切な公共交通の専門家を交えた議論」も4割が支持し、安全にかかわる公共交通であることから、実態に即した適切な議論のプロセスを望む声が多いことが示されました。

 

 海外型ライドシェアに対する評価