価格交渉を強力に後押し 転嫁は進展も二極化

 

 エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、政府は毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定しています。

 価格の改定は、半期に一度、4月と10月に行う企業が比較的多いことから、中小企業庁では、その前月である3月と9月を、「価格交渉促進月間」と設定し、価格交渉・価格転嫁の促進のため、広報や講習会、フォローアップ調査を実施し、価格転嫁率や業界ごとの結果、順位付け等の結果をとりまとめるとともに、状況の芳しくない親事業者に対しては下請中小企業振興法に基づき、大臣名での指導・助言を実施されています。

 2024年9月の状況は、「価格交渉を申し入れて応じて貰えた/発注側からの声かけで交渉できた」割合が前回調査(2024年3月)より増加(85.2%→86.4%)するなど、価格交渉の実施状況は改善しています。しかし、価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割でした。今後も発注企業に対し、価格交渉の場の設定のみならず、価格に関する受注企業への十分な説明も求めていくとしています。

 一方、「発注側から交渉の申し入れが無かった」「協議に応じて貰えなかった」「発注減少や取引停止を恐れ、発注企業からの申し入れを辞退した」が 依然として13.6%あり、二極化が進行しています。

 価格転嫁の状況をコスト要素別でみると、エネルギーコスト44.4%労務費44.7%で、前回調査よりそれぞれ約5ポイント上昇しましたが、原材料費の51.4%よりは約1割、低い水準にとどまっています。

 また、受注側企業から見て、発注側企業に対して価格転嫁して貰えたかについて、価格転嫁に相対的に応じて貰えている業種は、卸売、製薬、機械製造、相対的に応じて貰えていない業種は、金融・保険、トラック運送、通信となっています。


 

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 関連情報

公正取引委員会「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」の結果

 

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