(8/21更新 関連情報を追加しました)
交通労連ハイタク部会、全自交労連、私鉄総連ハイタク協議会で構成するハイタクフォーラムは、3月8日に総決起集会を都内で約300人のハイタク労働者が結集して開き、「全力でライドシェア新法絶対阻止のために闘う」との集会アピールを満場一致で確認しました。
冒頭、ハイタクフォーラム代表幹事の溝上委員長(全自交労連)があいさつに立ち、「2002年の規制緩和以降、それを超える脅威が目の前に迫っている。ライドシェアの全面解禁である。これは自らの利益だけを追求するプラットフォーマーであり、そこに携わるドライバーを使い捨て雇用を破壊し、われわれが築いてきた安全・安心を破壊し、最終的には地域公共交通を崩壊させることは火を見るより明らかだ」と訴えました。
次いで、京都大学の藤井教授から、「まず結論から申し上げて、ライドシェア導入が現行制度で導入された場合、タクシー業界の秩序が崩壊することになることは確実だと思っている。そして、利用者へのサービスの質が劣化してしまう。最終的には地域の利益、公的な利益、そして国益を根底から棄損するものになる。公益を増進するのであれば新法導入は賛成するが、学者として分析した結果、全く逆で、公益を大きく棄損することは間違いない。行政の指導等で運賃改定が行われその結果、1年足らずの間に大阪ではドライバーが何百人も増えた。これは他の地域でも起こっているのではないかと思う。これがライドシェア新法導入によって料金が低くなり結果、供給力が増えるのみならず安い供給力が追加されることになり、全体の運賃の引き下げ圧力というものが進んでしまう。せっかく運賃及び賃金が上がってきた状況に冷や水をぶっかける新法導入は常識を持った人間にはできないはずである。推進論者たちは何を言ってるのか分かっていないのではないか。最大の問題は、賃金が効果的に引き下がって担い手不足が加速するということである。労働組合の皆さんと共に頑張っていきたい」との助言をいただきました。
なお、2月8日に「危険なライドシェアを許さず/安全な公共交通を守るための請願」署名を国会に提出したほか、集会前日の3月7日には、厚生労働省と国土交通省に対する要請も行いました。
交通労連ハイタク部会の小川部会長は、国会請願で「ライドシェア導入は労働問題であり、生活が安定せず若者も結婚できず、少子化にも繋がる。一方で少子化対策、賃金上昇と言っており、こんな一貫性のない政権をこのままほっとくわけにはいかない」と述べました。
ご協力いただいた請願署名は、交通労連で集約した12,762枚・55,427筆を含め、ハイタクフォーラム全体でも過去最多の22万917筆となりました。ご協力に感謝申し上げます。
【厚生労働省要請】
①感染症対策について
②累進歩合制の完全排除(禁止)について
③給与体系・労働条件・運転者負担等について
④地域別最低賃金の遵守と労働時間管理の適正化について
【国土交通省要請】
①ライドシェアについて
②運転者不足対策
③タクシー事業における適正化について
④タクシー事業の活性化について
⑤ハイヤー事業の適正化・活性化について
⑥タクシー運賃について
《コラム》 なぜ、日本でライドシェアは不要なのか
われわれのタクシー産業は、戦後の復興期から営々と努力を積み重ね、「安全・安心・快適」だと世界に認められた産業に成長してきました。その背景には、道路運送法や二種免許制度などによる「利用者保護の観点」があると言えます。
日本のタクシーとは違い、海外のタクシーは基本的に業務委託という形になっており、そのため、遠回りされ運賃も不当に高くなる例や、運行管理や車両自体も整備されているのか疑問となる例が出てきます。こうした事情から、海外では既存のタクシーよりも快適で運賃も明確で安心ということでライドシェアが広まりましたが、一旦導入したものの、安全性や労働性といった問題点が多く、後に厳しく規制されている国が殆どです。
4月からの新制度(いわゆる日本版ライドシェア)についても「原則反対」です。全国的なバス運転者不足により路線の廃止や減便が相次いでいますが、ライドシェアはバス事業にも危機的な状況を与え、最終的には市民の移動の権利を奪うことになるのです。バスが撤退し、タクシーも撤退せざるを得ない地域事情を考慮すると全て反対とは言い切れないものの、ライドシェアによらない解決策が必ずあると考えます。