国立がん研究センターが「ガイドブック」を策定
医療の進歩により、がんにり患しても仕事を続けられる人が多くなるなか、企業にとっても人材確保につながる、仕事と治療との両立が求められています。一方、いざ対応するとなると経験がないために苦慮することも少なくありません。
そうした状況を踏まえて、国立研究開発法人・国立がん研究センター(中釜斉理事長)が、「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」を作成しました。
ガイドブックは、同センターと人事・労務担当者などとの議論を踏まえて、実際に社員ががんと診断されたらどう動けば良いのか、支援の進め方、必要な配慮などについて解説しています。
「大企業編」と「中小企業編」があり、紹介されている事例は違いますが、まずは支援制度を総点検するよう求め、具体的に、
①がんと診断された社員は、検査や治療のために仕事を休むことが必要になる場合がある
②「有給休暇制度」「病気休暇制度」「在宅勤務制度」など活用できそうな制度を洗い出しておく
③活用できそうな制度をリストアップしておけば、すぐに情報を提供して相談に応じることができる
―としています。早い対応は社員の大きな安心につながります。
また、手厚い制度をつくるよりも少しずつ変更していく方が良いとして、例えば、有給休暇取得を半日または時間単位で取れるようにしたり、育児・介護のための時短勤務制度の対象を病気まで広げたりすることを挙げています。
相談窓口の明確化も重要ですが、新たな組織を構築するよりも、人事担当者や産業保健スタッフが「ここで相談を受け付けます」と宣言する方が効果的で、社員に相談窓口担当者の顔を覚えてもらうと相談事を持ち込みやすくなると助言しています。
(関連情報)事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
心臓疾患・大血管疾患対策ガイドライン(国土交通省)
脳血管疾患対策ガイドライン(国土交通省)
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