交通労連の自動車学校・一般業種部会は全国指定自動車教習所第9回労使懇談会を7月12日、埼玉県・さいたま市「ラフレさいたま」で「ブラッシュアップ講習」の創設をテーマに開き、基調講演及び意見交換を行いました。
なお、懇談会には15校所から労使合わせて27名(企業側10名、組合側17名)、行政や業界団体を含め計31名が参加しました。
この懇談会は、労使が企業や都道府県の垣根を超えて一堂に会し、業界の現状や課題認識の共有化と将来展望を切り拓くための研究を行うとともに、労使の協力体制を一層強化し、業界のさらなる発展に向けた協働を推進することを目的に開いています。
特に今回は、いわゆる「空白の50年」(一般的には20歳前後で免許を取得してから高齢者講習を受講する70歳までの間、教習所とは縁遠くなってしまうという課題を象徴する言葉)の是正を目指す「ブラッシュアップ講習」の創設をテーマに開きました。
免許保有者を対象とする講習は、これまでも各校所で取り組んでいるが、交通安全を一層推進していく上での必要性について、社会の十分な理解を得ているとは言い難い。また、一過性のものではなく、持続可能な取り組みとするため、教習所にとってもビジネスとして成り立つことを前提に業界共通のモデルを創り、社会に広く浸透させることを目指しています。
各校所は、これを単なる閑散期対策と受け止めるのではなく、すでに行っている企業向け研修との融合など、それぞれの創意工夫によって応用し、活用していくことが求められています。
冒頭、警察庁運転免許課の髙木課長補佐から「指定自動車教習所の現状と運転免許行政」について基調講演を受けた後、参加者からの質疑応答も行い、行政との直接対話の貴重な機会となりました。
次いで、「ブラッシュアップ講習」の創設をテーマに、(一社)全日本指定自動車教習所協会連合会(全指連)の調査研究委員会委員長を務められた埼玉・羽生モータースクールの五十幡社長から、
①健康診断と同様の社会的な認知を得て、定期的な受講に結びつけることを意識した仕組みづくりに苦心したこと
②実施する各校所で、講習の肝となるコーチング能力を高めることが社会に受け入れられるためにも、交通安全の推進という社会貢献につなげるためにも重要であること
――などの貴重な説明がありました。
続いて、実施にあたって全指連の推奨器材となっている「Eco―SAMドライビングコーチ」を自社の企業向け研修で活用し、「ブラッシュアップ講習」の検討や試行にも協力した㈱ムジコ・クリエイト(青森・弘前モータースクールなど4校を運営)の宮川スーパーバイザーから、器材の特徴や効果的な活用方法など、詳細な紹介を受けました。
意見交換では、受講者に一週間、器材を貸し出して日頃の運転を記録し、教材とするなどカリキュラムに工夫の余地が大きいことや、急速な普及が見込まれるテレマティクス保険との連携による顧客獲得など、さまざまな可能性を秘めていることを認識するとともに、参加者間のネットワークを活かしていくことも含めて活発な意見が出され、盛会裏に終了しました。
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