交通労連の自動車学校・一般業種部会は全国指定自動車教習所第7回労使懇談会を7月28日、茨城県ひたちなか市の「安全運転中央研修所」で開き、「道路交通法の改正と運転免許行政について」をテーマに基調講演を受けたあと、交通安全教室の実演や研修所内施設の視察を行いました。
この懇談会は、関係労使が企業や都道府県の垣根を超えて一堂に会し、業界の現状や課題認識の共有化と将来展望を切り拓くための研究を通じて、労使の協力体制をいっそう強化し、業界のさらなる発展に向けた協働を推進することを目的に開いています。
特に今回は、安全運転中央研修所を訪問し、指定自動車教習所が地域における交通安全教育センターとしての機能を強化し、いわゆる「空白の50年」(普通免許を取得してから高齢者講習を受講する年齢になるまでの教習所と疎遠な期間)を埋める企業研修や認定教育、自転車や歩行者を含めた交通安全教育の展開など、将来を展望する際の参考にすることを目的に開きました。
交通安全教室を実演いただく
中央研修所の視察では、まず付属の交通公園で実施されている小学校3年生向けの交通安全教室について、その一部を実際に実演しながら紹介を受けました。
最初のダミー人形を使った道路横断時の危険性を認識させる実験は、横断歩道のない場所で、路上駐車しているトラックの後ろを飛び出して横断しようとするダミー人形が時速四十キロメートルで走ってきた普通車にはねられてしまうというもの。真に衝撃的な瞬間であり、子供の目には相当印象づけられるだろうと感じた。この実験を普通車の助手席で体感した加藤進取締役(刈谷自動車学校)は、凄まじい衝撃を証言されたが、あまりの衝撃で言葉を失うほどの様子でした。
そのあと、正しい横断の仕方を実際に体験しながら身に着けさせ、必ずルールを守ることを約束させるという指導法について紹介いただいた。
印象づけるための工夫が随所に
次いで、車の死角について教える場面では、信号待ちをしているトラックの脇に、後から自転車に乗った教官が近づいて止まり、この時、トラックのドライ バーから教官の姿は見えないことを車内から撮影した写真のパネルで示し、実際に位置関係を見せながら、当然見えていると思わせて、実は見えていないことを 客観的に提示することで、言葉だけでは伝えにくい内容を印象深く伝える工夫がありました。
引き続き、内輪差による巻き込まれの危険性の実験に移っ た。信号が変わってそれぞれが動き出した際、左折するトラックに近づき過ぎると巻き込まれてしまうということを、自転車に乗って近づいた教官の位置に、風 船を仕込んだパイロンを置きなおしてトラックを動かすと、トラックの後輪がパイロンを踏んで、風船の破裂音が響くというもの。
そのあと、内輪差を描いた図を使ってもう一度解説した。最初からパイロンで実験するよりも自分と教官の位置を置き換えることで、場面を想像しやすくする工夫がありました。
最後に、自転車の点検について、「ブタはシャベル」の語呂合わせで、
①ブレーキ
②タイヤ
③ハンドル
④車体
⑤ベル
――の5つの点検ポイントについて、それぞれ 実演を交えて教え、語呂合わせを復唱させることで印象づける方法が取られていました。
続いて、東京ドーム約20個分の広大な敷地に配置された、一周5キロメートルの高速周回路をはじめ、直線と坂道の両スキッドコース、ハイドロプレーニング 現象の体験施設など充実した研修施設を見て回るとともに、各教習所から出向されている教官の案内で各研修課程の様子を視察し、大変有意義な訪問となりました。
⇒「活動情報」へ戻る