人材育成が焦点に
交通労連トラック部会は7月8~9日の2日間の日程で、「第十九回中央労使懇談会」を、愛媛県・松山市の「道後温泉ホテル椿舘」で開きました。
労使懇談会には企業側18社、労働側24労組、約六十人が参加しました。
冒頭、労働側を代表して山口部会長(労連中央執行委員長)があいさつ。
「トラック部会の中央労使懇は今年で19回になる。ご多忙の中、多くの労使が参加いただいたことに感謝を申し上げるとともに、開催にご尽力いただいた四国地方総支部の各加盟組合や企業側にもお礼を申し上げたい」と述べたあと、「労働力不足は他産業においても深刻な問題となっているが、とりわけトラック運転者不足については社会的問題として連合も捉えており、交通労連としても政策要求の場で強く訴えていく。また、労基法改正を見越して、中央で『トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会』が発足した。今後、各地方でも協議会が立ち上がる予定であり是非、協議会に参加し、現場の意見を述べてほしい。懇談会では、基調講演として日本トラックドライバー育成機構の酒井代表に講師をお願いし、労働力不足をテーマに講演いただくが、講演内容を各企業内で活かしていただきたい」とあいさつしました。
ドライバー育成にドラコンを利用
次いで、「労働力不足解消に向けたヒントを探る」をテーマに日本トラックドライバー育成機構の酒井誠代表理事から講演を受けました。
酒井氏は「ドライバーの育成として、トラックドライバーコンテスト(通称・ドラコン)への参加を積極的に行っている。私は『小さな一流企業をめざす』という目標に向け、一流のドライバーを育成するために、ドラコンへの参加を決定した。ドラコンでは単に運転技術を競うだけでなく、法規や車両の構造などを審査する学科も含まれており、ドラコンに挑戦することで幅広い知識や経験を学ぶことができる。また、審査結果は点数化されるので特に若いドライバーにとっては自分のレベルが分かりやすいという効果もある」と育成手法について説明。
加えて「ドライバーの採用においては、面接官の育成も重要である。面接は自社の強みや特徴などの魅力を訴える場でもあり、採用後の定着率にも影響する。きちんと自社のアピールができる面接官を育成することは人材確保において重要である」と述べました。
産業や企業の魅力を高める取り組みが必要
引き続き、第二部の懇談会に入り、企業側を代表して四国高速運輸㈱代表取締役の佐野社長があいさつ。
「まずは、改めて四国の地で労使懇談会を開催していただいたことに感謝を申し上げる。長年問題であった燃油価格が一時期から比較すると下がってはいるが、先の見通しを考えると不安もよぎる。個人的には年内は価格上昇はしないと予想しているが楽観はできない。さらに、講演のテーマでもある労働力不足が深刻化しており、各社ともさまざまな取り組みを行っている。是非、この場で紹介いただき、自社で活用できる取り組みは学ばせていただきたい」と述べました。
その後、部会の産業政策と取り巻く諸課題について、政策要求の内容を交えながら説明したあと、鈴木部会長代行(第一貨物労組)から、今年5月にベトナムを訪問した海外物流事情視察について報告。
次いで、人材確保・定着率の向上への対策についての意見交換では、参加企業から「採用しても定着してもらうのに苦労している」「募集を行っても人が集まらない」など意見があったが、「高卒の採用を再開した」「企業イメージを上げるため、テレビやラジオでCMを流している」「女性ドライバー確保のため、施設の改装や託児所の開設などを進めている」「労使で職場改善のプロジェクトチームを立ち上げ、現場の意見を反映している」など、前向きな解決策に取り組んでいると報告がなされ、今後も労使で知恵を出し合いっていくことを確認し、成功裏に終了しました。
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