国土交通委員会で金子議員(労連議員懇)が交通運輸業界の問題について質問されました

 交通労連の交通運輸政策研究会(労連議員懇)のメンバーでもあります参議院議員の金子洋一先生が、3月26日の参議院国土交通委員会にて、直面する課題について太田国土交通大臣をはじめ国交省へ質問を行いました。

 主な内容については、福岡県でUber社(以下、ウーバー社)が実証実験という名の下に行っている行為が、道路運送事業の許可なく有償で旅客運送を行ういわゆる「白タク行為」に触れる可能性が極めて高いとして国交省が停止命令を行った件および高速道路などのSAやPAでトラック駐車スペースが足りなく、改善基準告示で決められた休息時間を守ることができない状況になっている件について、質問を行いました。

 今回のように、交通労連としても金子先生をはじめとする交通労連議員懇談会の先生を通じて安全・安心を脅かす問題について、積極的に改善に取り組んでいただくとともに、交通労連独自で行っている各関係省庁への政策要請にも取り組んでいきます。

発言内容の概要(一部)は下記の通りになります。

(金子議員)
 福岡で白タク行為を実験と称して行っておりましたウーバー社についてお尋ねをいたします。このウーバー社というのは、時価総額が約4.7兆円ということで、大企業でございます。
 ところが、そんな巨大企業であるのにもかかわらず、実はドイツ、フランス、スペイン、オランダなどで営業停止命令が既に出ており、イギリス、アメリカでも国会などで問題になっている会社であります。
 このウーバー社が、福岡で白タク実験をやったんですけれども、事故発生時に損害補償会社が白タク行為をやっていたときにも保険金を払うのかどうかについて、同社は確認済みと回答したが、国交省が再チェックをしたら本当に払われるかどうかよく分からないとのこと。
 果たしてこういった会社と国交省ときちんとした話合いができるのかと。これ、大変厳しい態度で臨まなければいけないと思うんですが、国交省、いかがお考えでしょうか。

(国交省)
 ウーバー社は、御指摘いただきました保険の関係につきまして詳細な説明を求めたところ、仲介をする会社を通じての確認にとどまっていた、あるいは車両の使用目的の変更等の手続が必要となる可能性、この点についても確認がされていなかったなど、大きな問題がございました。したがって、ウーバー社に対しまして中止をするよう強く指導をしたところでございます。
 ウーバー社が言うライドシェアとは、実態として有償で旅客運送をするものでありまして、道路運送法に抵触するものと考えられます。事故が起きた場合の保険の適用についても確認が不十分でございますので、ドライバーや利用者の保護等の観点から問題があると考えております。
 旅客の運送につきましては、安全の確保や法令遵守が大前提でございます。これらについて懸念がある形でのサービスや事業が行われることのないよう、引き続き注視をし、厳しく指導をしていきたいと考えております。

(大臣)
 ウーバー社は、東京におきましてもスマートフォンを用いて旅客と運送事業者とを仲介して配車を行うというサービスを提供しているところです。このサービスは、ウーバー社が旅行業法に基づく旅行業者として実施しているものと承知をしています。
 しかしながら、このような場合も、タクシーの公共交通としての安全性、健全な事業の運営、運転者の労働環境、これらが確保されるべきことは当然であり、ウーバー社及び同社と提携しているタクシー事業者に対し、しっかりと指導してまいります。

(金子議員)
 まさにそういった配慮は必要だと思います。思いますけれども、そうしたことをきちんとやっていても関越道の高速ツアーバスの事故というのは起きてしまった。今回も起きない可能性というのはありませんよと、それに早く手を打つ必要が絶対にあるんじゃないかと私は思います。

 つぎに、トラックの問題でございます。高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでトラック、大型車の駐車スペースがございますけれども、これが特に平日夜間などは大変いっぱいで、満車になってなかなか止まれない状況です。
 トラックのドライバーには、4時間運転をしたら少なくとも30分は休憩をしなきゃいけないという最低限の労働基準、改善基準告示というものがございます。ところが、厚労省の調べによりますと、これの改善基準告示の水準をちゃんと守っているところというのはなかなか多くない。
 その一つの要因として、トラックの駐車スペースが高速道路に少ない、不十分であるということが言えると思います。民間企業の側での改善努力は必要ですけれども、やっぱり駐車スペースの確保など国の取り組みというのはどうしても必要になると思います。

(国交省)
 高速道路の休憩施設は、委員御指摘のように過労運転による事故の防止あるいは利用者へのサービスの向上の観点から大変重要な施設であると考えております。
 高速道路会社では、これまでも計画的に休憩施設を整備しております。一方で、既存サービスエリア等の駐車スペースの増設につきましては、土地や費用面からの制約あるいは閑散時間帯には利用されないスペースも生じるといった課題があります。したがって、他のサービスエリア、他の休憩施設と連携した分散利用なども含めまして、利用者の方々ともよく相談しながら総合的な対策が必要であると考えております。引き続き、実態を確認しながら検討してまいりたいと思います。

(金子議員)
  タクシー改正特措法の特定地域(強制力のある需給調整を行う地域)の指定要件について、日車営収が賃金の水準の指標として入っていますが、やはり乗務員の平均賃金を入れるべきだと思います。立法趣旨からして、それを入れるべきだと思います。
 また、特定地域指定基準に人口30万人以上というのは流しが多いからだという説明をいただきました。しかし、恣意的なと言うと失礼かもしれません、アドホックな指標をお使いになるよりは、例えば無線配車の場所でのタクシー台数に対する比率とか、そういった統計データを使って、そして決めていった方がいいんじゃないでしょうか。規制改革会議から2分の1までと言われたから、29地域(34%)で3分の1ならいいですねと(決めたんではないですか)。
 基準の指標を直ちに見直すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

(国交省)
 ただいま御指摘ありました、乗務員の平均賃金を取り入れるべきではないかという点でございます。賃金を正確に把握するのはなかなか困難であるということ、あと賃金は労使間で決定されるということでありますので、この辺りは、一定の金額を示すことで労使間に影響があるという可能性で適切ではないと考えているところであります。
 また、供給過剰状態が非常に起こりやすいというところが流し営業が多く行われているということでございますので、ここで人口30万人以上の都市を含む営業区域というようなことで、今般の指標に取り入れているところであります。指標につきましては、客観的かつ恣意的でないかたちで、我々もいろいろ努力をしてまいります。現在、きちっと把握ができる指標の中で、できるだけ客観性を持たせた努力をしてまいっているということを御理解いただければと思います。

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