政府の規制改革会議(議長=岡・住友商事相談役)の「雇用ワーキング・グループ」(座長=鶴・慶応大大学院教授)のその後の動きについて、交通労連の金子調査部長より報告します。
第11回会合(10/11)からは、労働時間法制についての検討が進められています。
第12回会合(10/23)には経済団体の、
第13回会合(10/31)には連合の、
第14回会合(11/5)には厚労省のヒアリングが行なわれました。
連合からは、
- 60時間超50%割増の中小企業への猶予措置の早期廃止
- 休息時間(勤務間インターバル)の導入の必要性
- 時間外労働にかかる上限時間規制の導入の必要性
など、過重労働防止に向けた労働法制のあるべき姿を訴えています。
一連の会議資料はこちらから参照できます。
ヒアリングの場では、併せて、労働政策審議会の議論と同時並行する形で規制改革会議で議論が行われていることについて、本来、ILO条約にもとづく政労使三者構成原則に則った労働政策審議会の場でこそ取り扱われるべきだと強く主張しました。
実際、11/5に閣議決定された国家戦略特区法案で検討すべき規制改革事項のうち、有期雇用の特例として、「重要かつ時限的な事業に従事している有期労働者」であって「高度な専門的知識等を有している者」で「比較的高収入を得ている者」などを対象に現行の上限規制5年を全国を対象に延長する案について、来年の通常国会への法案提出に向けて労政審で早急に検討することが盛り込まれました。(政府の腹案は10年への延長のようです)
このように、三者構成の保障されない規制改革会議のような場で具体的な方針を決定し、労働政策審議会にはその細部の検討だけを担わせるような、労使による実質的な審議の機会を奪う運営がなされつつあることに、連合は懸念を深めています。
なお、雇用に関してもう一つ、
個別労働関係紛争の未然防止等のための事業主に対する援助として、新規開業直後の企業及びグローバル企業等が、我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めることにより、紛争を生じることなく事業展開することが容易となるよう、「雇用労働相談センター(仮称)」を設置し、裁判例の分析・類型化による「雇用ガイドライン」を活用して個別労働関係紛争の未然防止、予見可能性の向上を図るという案が盛り込まれていますが、こちらは労政審での審議もなしに、特区法案さえ成立すればその枠組みが決まるような形になっており、いきなり国会審議の場が主戦場になるようです。
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